サラリーマン讃歌
既に二回生になった梓は、大学生としてキャンパスライフを満喫しているようだ。

久保とは今でも続いており、一緒に遊びに行った時などは、バカプッルぶりを大いに発揮している。

今でもお世話になっている《劇団 ヒカリ》の仲間達も、元気に日々の生活を送っている。

座長の田島は熊の様に吠えて劇団員達を叱咤激励し、恭子は平然とした顔で岡本などを扱き下ろしていた。

亜理砂も日々仕事に芝居にと、リスの如くちょこまかと動きまわっている。
彼女とは今でも仲の良い友達として、お付き合いをさせてもらっている。

空見子はといえば、自分の夢である保育士の資格を取る為に、日々バイトをしてお金をコツコツと貯めていた。

あのいなくなっていた九ヶ月間に大検を受け、高校の卒業資格は取っていたらしいのだが、大学や短大を受ける程の経済的な余裕は当然なかった。

俺が大学進学などに係るお金は出してあげると再三言ったのだが、空見子は頑なに断わり続けていた。

自分自身の夢なんだから、自分自身の手で掴みとりたいんだと言って、援助を一切拒否してきたのだ。

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