サラリーマン讃歌

~真剣な目~

動物園を出た後、一旦空見子の最寄りの駅まで戻ると、晩飯を食うためにレストランへ入った。

「家に電話とかしなくてよかったの?」

「うん。大丈夫」

「お母さんが飯作ってるんじゃないの?」

「大丈夫だよ。お手伝いさんがいつも私が帰って来てから作ってるから」

「お手伝いさんって……凄いね」

空見子の家が超豪邸であることを思い出した。

「ごめんな。こんな安物しか奢れなくて」

「全然いいよ。十分だよ」

俺達が入ったのは、大衆的なパスタの専門店のレストランだった。

俺は浅蜊のボンゴレを、空見子はシンプルにミートスパゲティを頼んだ。

「でも、動物園って久しぶりだった」

「俺も行ったのは相当昔だな」

「なかなか友達同士では行ったりしないもんね」

「そうだな。でも彼氏とは行ったりしなかったの?」

今までずっと聞きたかった事を、話の流れの中で漸く尋ねることが出来た。

「だって今まで男の人と付き合ったことないもん」

「えっ?」

流石に耳を疑った。こんな綺麗な子が、彼氏がいない訳がないと思っていた俺は、思わず聞き返してしまった。

「そんな訳ないでしょお」
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