僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅰ
「いのうえ、いる?」
観察していると先輩はそう訪ねてきて、首を捻る。
いのうえ?って……。
「有須のことですか?」
「ああ、そうそう。阿 有須」
バレー部の先輩か!
有須の友達にしては珍しいなと思っていたから、自分で導き出した答えに満足する。
「有須、ついさっき帰っちゃったんですよ」
「ほんと? あー…そっか」
少し困ったように後頭部を掻く先輩に、部活のことで話でもあるのかと察した。