僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅰ


「やめてっ!!」


思い切り何かを払い除けたあたしの手は宙を切っただけで、視界は薄暗くて天井しかなかった。


「……ハッ、……ハァッ…」


瞳孔が開いて、息が苦しい。体中が汗で濡れて、額から嫌な汗が流れ落ち、頬は涙で濡れていた。


「ハッ……ハァッ……ゆ、め……」


夢だ……。


上半身を起こして額の汗を拭う。寝ていたはずなのに、体は温かいどころか冷えていた。


微かに震える手で胸を押さえて呼吸を落ち着かせながら、部屋を見渡す。


まだ薄暗い……きっと早朝だ。


「……」


捲れた布団をもう一度被ろうとしたけれど眠れそうになくて、深く溜め息をつく。


布団を退かしベッドから降りる。冷えた体を両手でさすりながらリビングへ向かった。
< 390 / 641 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop