僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅰ
「………」
ゆっくり体を起こして、右手で額を押さえる。
ぎゅっと強く目を瞑ったのは、もう同じ夢を見たくない思いから。
……ああ。そうだった。
見えなくても、聞こえるんだ。
いくら拒絶したって、目を瞑ったって、耳を塞いだって。
頭が、体が、心が、覚えてる。
忘れたいのに何ひとつ消えない。
思い出したくもないのに、あたしの全てが覚えてる限り、いとも簡単に引き戻される。
“なんで生きてんの?”
ほら。
こんなにも鮮明に、暗闇に引きずり込まれる。