僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅰ

予告




『“闇夜の威光”って知ってる?』


『何してるのって聞いてるんだよ、祠稀』


『帰れ。話すことなんてない』


――彷徨うヒツジは集い、寄り添った。


『偽善者らしい答えだよ。博愛主義、愛他主義。凪が誰でも平等に、広く愛して優しくしてやんのは、立派だと思うぜ? ……でも、吐き気がすんだよ』


全てを、分かり合いたいわけじゃなかった。


ただ、共に歩んでいければ、それでよかった。



『友達ごっこはもうたくさんだ……』



共に歩むことすら、許されない?



『死ね』



愛に飢えて、愛に焦がれる僕等は本当に、知らないのだろうか。



『ま、ここにいる全員、不毛な片思いしてるってことかな?』

『不毛かどうかは自分で決めるっつーの』


大切だから、知りたかった。

大切だから、そばにいたかった。


『守ってあげる。そばにいてあげる。凪が望むまで、ずっと、一生でもいいよ。俺だけは、凪の味方でいる』


『あたしが悪いの? この世に愛しちゃいけない人なんているの?』


『俺らの気も知らないで、なんでもかんでも決め付けてんのが気に食わねぇんだよ……!』


『……壊れてもいいなんて、言わないで……』



分かち合えない傷と闇。


それは、宴の終焉を意味した。



『無駄だから、全部。ふたりがどれだけ頑張っても、あたしはそのたび嘘をつく。……って言ったらどうする?』


『祠稀は分かってない! 凪のことも、俺のことだって……分かった気でいるだけで、何ひとつ……っ』


集ったヒツジに与えられたのは、刹那の幸福と脆弱な愛だったのか。


それとも最初から全て創り上げられた、虚構の世界だったのか。




『今までありがとう。
 
        元気で』





 僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ

    ...2011.8.24 END

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