ハピネス 〜女になった私〜



リフトの順番待ちからかなりの緊張。



「やっぱりまだ無理だよ。下で待ってるからノブくん一人で行って来て?」



ニコッと笑ったノブくんが、ぎゅっと私の手を握る。



そしてズルズル引きずられながら、強引にリフトに乗せられた。



「怖いよ〜」



「下見るからやって。遠く見てみ?綺麗やで。」



確かに、よく晴れた雪山は、感動的な美しさだけど、それを楽しむ余裕なんて今の私には全くない。


ずっしりと感じるスキー板の重さ。



体は寒さと緊張でガタガタと震える。



「ノブくんのばか!どうすんのよ〜?死んじゃうよぉ」



「今、ばか!って言った?」



ニヤリと笑ったノブくんが、わざと私の板に自分の板をぶつける。



そして更に、足を振ってリフトを揺らす。



「ごめんなさい、ごめんなさい、ホントにごめんなさい!!」


半泣き状態の私を見てようやく優しいノブくんに戻ってくれた。



「未希、大丈夫やって。」



「・・・うん。」



「ちゅーしたろか?」


「・・・いらない。」



動けない私の頬にチュッとキスをひとつ。



目だけを動かして、“やめて!”をアピール。



面白がったノブくんは、さらに私の唇に自分の唇を重ねてきた。



「未希、ほらちゃんとキスして?」



「んっ・・・やだっ」



初心者コースにも関わらず、随分高くまで登るリフトに私は軽くパニック状態。


「怖いっ怖いよっ」


案の定、転げ落ちる様にリフトから降りた私をノブくんはケラケラと笑う。




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