ハピネス 〜女になった私〜



懐かしい匂い。



ああ・・・本当に帰ってきたんだ・・・。



リビングにはお父さんの姿はなかった。


お母さんを見ると、少し引きつった笑顔を作った後、隣の客間のふすまを開けた。



「お父さん、帰って来ましたよ。」



先に私が部屋に入る。



6年振りに見る父の姿。



お父さんは、一瞬だけ私を見ると、驚いた様にすぐに視線を外した。



それでも、家に居てくれた事が嬉しかった。



「何しに帰って来たんだ?」



立ち尽くす私の背中を、ノブくんがそっと押してくれた。



「二人とも座りなさい?」




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