7月7日、逢いたくて

【take a step forward】



―――
―――――



「これ、お願いします。」


あれから3日後。

梅雨は一時の中休みに入り
久々に空が晴れ間を見せた6月の中旬過ぎ。



「いらっしゃいま…、」

「こんにちわ。」

カウンターに置かれた天体の写真集に
顔を上げたあたしの瞳に映ったのは、いつかの天球儀を買った彼だった。



「こっ、こんにちわ!」

突如、心臓が騒がしくなり始める。


思わず、どもってしまった自分に顔中に熱が集まった。



「この前はどうもありがとう。」

「い、いえ!こちらこそ、ご購入ありがとうございました!」

「とんでもない。すごくいい天球儀ですよ。」


お礼を言いたいのは僕の方だ、と
彼は垂れ気味の目尻にシワを寄せて笑った。



――天塚 匡軌(アマツカ マサキ)

この前、こっそり覚えた名前。


おそらく、star letterをあたしに送って来た人。




まさか、こんなに早く会えるなんて。







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