純愛バトラー
 オレは自分の取り分のティラミスを開けると、不機嫌なまま頬張った。
 甘いものを食べると幸せな気分になるというが、甘味程度ではオレの心の内側に渦巻く炎は鎮火してくれなかった。

 イライラしたままティラミスを食べ終えた時、小雪が部屋に戻ってきた。

「烏丸、おかえり。ちゃんと届けられた?」

「うん~。二人ともお礼言ってた」

 そんな小雪の様子を見て、千沙子がからかうように尋ねた。

「そういえば、二人の様子はどうだったの?」

 おいばかやめろ。余計なこと聞くな。
 そんなオレの心の声には気付かず、小雪は溜め息をついて報告した。
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