純愛バトラー

MoonShineDance

 オレが病室を出る頃には、一般の面会時間は終了していた。

 それでも、泊り込みで入院患者の看病をする家族がいないわけではないから、正面玄関の脇にあるドアの鍵は開いている。

 オレが自由時間になるのは、丁度面会時間が終了になる頃だから、こちらのドアから出入りする事が多かった。

 個室で他の患者に迷惑がかかるような事もないため、多少の時間の融通は利かせてもらっている。

 ドアをくぐり、月が冴え渡る外へ出た。

 今夜はやけに月が明るい。
 見上げると吸い込まれてしまいそうだ。

 病院の中庭は手入れが行き届いているが、レジャー施設ではないので、ライトアップなどはない。

 それでも、月光に照らされた噴水は、光を反射させながら放物線を描き落ちていく。

 静謐に彩られた夜の中庭。
 いつもは通り過ぎるだけのこの場所で。

 一人の少女を見つけた。
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