恋*クル

*悦子という彼女*



武人のお弁当があたしのもとに届かなくなって、どれくらい経ったんだろう。

梅雨が明けて、もうすぐ期末試験が始まるから、一ヶ月は経っていないと思う。

それなのに、ずいぶんと長い月日が経っているように思えた。



合同で行われる、武人のクラスとの体育の授業。

その時に武人と顔を合わすけれど、あたしたちは一言も話をしない。

目が合って……、武人がにこりと笑うから、あたしのその笑みに応えるだけ。


ただ、それだけ――……


最初は、“何か喋ってくれてもいいんじゃない?”と腹が立ったけれど。

次第に、寂しくなってきた。


ヘタレでも何でもいいから……


“梓ちゃん!”

あの声がもう一度聞きたい……。


< 135 / 201 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop