戦国サイダー
組まれていた腕はほどかれ、その右手が私の顔の側にある。


さっきのことを思い出して思わずびくりとあがった肩、でもそれに構わず鬼虎は私の頬をゆっくり……



拭った。



「……あれ?」



全然気付かなかった、いつの間にか泣いている。


ってか、全く悲しくないんですけど!? なんで!?



「混乱するのも当然だ。一歩間違えていれば殺していた」



その上何急に優しくなってんの、この人は!


鬼虎がそんなんじゃ、こっちの調子が狂うじゃない。



「いや、大丈夫だから! なんでもない!」



零れ続ける涙を拭ってくれる手のひらから逃れようと身をよじる。


だって。



優しくされたら、余計に泣けてくる。


 
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