戦国サイダー
そのまま回れ右をして、ただ真っ直ぐ前に進む。


とにかく何も考えないように、自動ドアを抜けてテラスへと逃げてきた。



思ったとおり、真夏のテラスは人がいない。


ちょっとだけ木陰になっているベンチを見つけ、私は脱力しつつ腰を下ろした。



「あーあ……」



なんだかよくわからない感情が湧いてくる。



「男だったら」なんて、実はしょっちゅう言われる台詞。


クラスメートとか、近所の仲いい子とか。



「あんたみたいなのが男だったら惚れるのに」って。



男友達にさえ「お前が男だったら親友にしたいな」とか言われるんだ、きっとちっとも女らしくないんだと思う。


それに、別段嫌じゃない、そう言われるの、自分でもなんとなくわかる。


 
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