戦国サイダー
「それ、虎には……」


『まだ言ってない。でも探している、とは伝えてある』


「そっか……」



どうしたら良いのだろう。



思考が止まった頭に響くのは、自分の鼓動。



『いつ言うかは、お前に任すよ』



電話の向こうの兄が、ゆっくり言う。


余りにも、悲しいことを。





私が伝えるの?


いつ言うのかも、任されるの?





帰る方法が、見つかったよ、って――


 
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