戦国サイダー
「まったく。もう少し素直になれ。正直に泣けば良かろう」


「ぬなっ……誰が泣きそうなんですか!? 勝手に思い込まないで頂けます?」



鳥居の前で向かい合って、私は両拳を握り、虎は腕を組んで見下した態度。





わかってる、ううん、今わかった。



ねえ、優しいね、虎。



「その鳥居を越える勇気もないだろうが」



だから、泣かない。



「失礼な。私がやらなきゃ虎は帰れないんですからね? そうやって見下してばっかりいたら、ここから動いてやらないんだから」



ね。



「誰がお前に遜(へりくだ)るものか。動けない理由を儂のせいにするな」





ばか。


 
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