戦国サイダー
「帰れるかどうかもわからぬのに」



最後のその言葉には返事をしないで。


私は右を向いて、鳥居へと一歩足を踏み出した。



「早くしろ」


「はいはい」



虎に背を向けて、もう一歩。



脚は、動く。



いや、動かせる。



虎が、見ていてくれるから。





あと一歩、それで鳥居をくぐろうと脚を上げたとき。


 
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