嫌いな男 嫌いな女

『思春期の誕生日』





「誕生日、なんかほしーもんある?」


パスの練習中、隣に並んでいた明宏が俺に突然聞いてきた。


「お前の誕生日プレゼントはねえよ」

「催促してるわけじゃねーって。巽の誕生日明日だろ? 俺の次の日」

「やっぱり催促だろ。今日誕生日だっけ、おめでと」


誕生日ってなにが嬉しいのかよくわかんねえけど、明宏は「さんきゅ」と嬉しそうな顔をした。

多分今日は美咲の友達の由美子とかいう彼女と一緒に過ごすんだろう。

彼女でもいりゃ、誕生日もいいもんになるんだろうか。


3年になって、卒業が近づいたからなのかしらねえけど、ちらほら付き合っただとか告白しただとか、そんな話を耳にするようになった気がする。

っていうか俺も、実は先週知らねえ女子から告白されたんだけど。

……少し考えたけど、やっぱり知らない女子とか、めんどくせーもんなあ。


マネージャーとも、結局なにもなかったし。
というか、やっぱり彼氏いたらしいしな。わかってたからショックではなかったけど。やっぱりかあって感じだ。

俺も別になにもアクション起こしてねえし。
かといって後悔してるわけでもない。


高校生にでもなったら、そういうのがわかんのかなあ。

隣のバカ美咲は、まだ悠斗のことを好きなのかどうかしらねえけど。
あいつですら恋愛ってものを知っているのに、俺がしらねえってなんか悔しいんだけど。

でも、マネージャーの言ったように、俺の身長はいい感じに伸びてきた。多分まだ伸びるっぽい。

ざまあみろ。
もうチビとは言わせねえぞ。

ざぞ悔しがってることだろう。


「んじゃ俺、今日は由美子ちゃんとデートだからー」

「はいはい」


クラブが終わって更衣室で着替えていると、明宏がにやけた顔でそう言う。
浮かれまくってんなこいつ……。

彼女ができるとこうなるのか。
自分だったら、どうなるんだろう。明宏のようになる自分なんて想像できねえなあ。
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