Mr.キューピッド

「ナナトちゃん。私達キューピッドは常に男女の味方でなければならわないわ。勿論オカマの味方でもね。」

雪路に要件を言って二日酔いの薬を貰うとついでにお菓子を頂いて、俺と雪路はベッドに座ってくつろぎながら話し込む。

「私は元々男だったけれど、おもいきって女になってみて知ったことがたくさんあるわ。」
「知ったこと?」
「ええ。」

意気込みながら話す雪路。

「男と女の恋愛の価値観は違うわ。女は純粋に愛を求めるけれど、男は体を求めてるの。惚れる要素もそれぞれ違う。」
「ああ、それなら俺にも分かる。」

少し前に仕事で、喧嘩した男女を再び繋げ直すっていう仕事をやったんだ。
その時2人の求めていたものは食い違っていて……理解をするのに数日掛かった。
互いに欲求不満でイライラしていたのがオチだったけれど、女性の方は『最近デートをしてくれない』っていう可愛らしい不満に対して、男性の方は『1回も抱かせてくれない』っていう本能的な不満で。その言い合いを見ていた時に滝本さんから雪路と同じようなことを言われたんだ。

「そして直に体感して分かったことは……」

雪路は食べているお菓子を頬張りながら、俺に言い放つ。

「女って面白い生き物ってところかしらね?」
「………は?」

全くもって意味が分からないんだけれど……。

「男のアンタには当然ね。」
「ま、また心読む!」
「ウフフフ!」

雪路の言ってることは理解出来なかったけれど、雪路はふざけてオカマになったんじゃないんだ……。
ほんのちょっとだけ俺の中の雪路の株が上がった。


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