Mr.キューピッド

入り口付近に医者らしき人はいなかったから、俺は奥の方へと進む。
カーテンで隠れてるけれど、うっすらと人影っぽいのが見えるし格好もそれっぽいから、多分その人に言えば薬を貰えるハズ。

「すみません。」

俺はその人へと話し掛ける。

「ハーイ、ちょっと待ってねっ!」

影の人は軽い口調でそう言うと、カーテンに手を掛けてその姿を現す。

「んふふ、何の用かしら?」
「………!」

そして、その『姿』を見た俺は、ショックのあまり固まってしまったという。

(何でだよ!!)

何故奴がスカートを穿いてナースなんてやってんだよ!!

「って、あらあら?ナナトちゃんじゃない!」

ニコニコ笑っていた顔を更にニコニコさせて、ナースことオカマの雪路は俺へと攻め寄ってきたのだった。

「な、何でナース服着てるのさ!!」

気持ち悪いにも程があるよ……しかも胸に詰め物入れてる上ストッキングまで履いちゃって?
何故か似合いすぎて気持ち悪い!!
雪路は頭と穿いているスカートに手を当ててポーズを決める。

「暇だからお手伝いしてるのよー♪ここの医務室の先生とナースさん達は皆オカマ仲間なのっ。」
「な、仲間?」
「ええ!『彼女』達と私は同士にして同志よ!」

ガッツポーズをする雪路。
………どうしてキューピッドってオカマ人口が多いの?

「それは皆女心を知りたいからよ!」
「心の中読むなよ!!」

心の中で疑問に思っていたら普通に雪路が会話のノリで答えてくれた。
エスパーですか主は!


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