ドラゴン・テイル【外伝】

□フェニーバード


「治す方法は無いのか? さっき、「絶滅したと思っていた」って言ったよな? つまり昔も同じような事があったんだろ?
 その時は、どうしたんだ?」

 続けて問いかけるウルに、目を開き視線を向けるヴァルザック。

 一瞬、ウルの鼓動が鳴った。

 ヴァルザックの瞳は、人型になった時のそれではなく、ドラゴンの瞳。

 言葉を無くしたウルに、ヴァルザックは静かに答えた。







「感染者を、皆殺しにしたんだ」







 ウルは、目の前が真っ暗になっていく感覚に襲われた。

 ─感染者を、皆殺し……?
 なんだそれ……。

「ラウラも…殺すなんて言わないよな? 他に方法は無いのか…?」

 ヴァルザックは答えない。

 ─それが……答え、なのか……。

 呆然と見つめるウルの瞳を真っ直ぐ見返して、ヴァルザックはゆっくり立ち上がった。

 それと同時に、肌の色が変化していく。
 ドラゴンの姿へと……──。


「……ヴァル………」

 掠れた声で何かを口にしようとするウルの声。だが、先に続く言葉が出てこない。
 ウル自身、何を言えば良いのかが分からないほど、思考回路が混乱していた。

 そんなウルに向けるヴァルザックの視線は、優しい。

「俺、ラウラを助けたい…」

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