ドラゴン・テイル【外伝】

 今にも泣き出しそうな程弱々しいウルの声に、ヴァルザックは瞳を閉じた。

 ウルは、自分を責めている。
 それが、痛いほど伝わる。

 ヴァルザックには、どんな過程でラウラがこの旅に付いてきたのか分からない。

 だが……。
 ウルには、あまりに残酷な事実だろう。

 共に旅をする仲間を手にかける事……。


『ウル……少し、眠っていろ。
 ラウラは俺が止める』

 頭に直接響くヴァルザックの声。

 その声を聞き終えるや否や、ウルから意識が遠のいていった。

 ─…ラウラ…───。

 薄れる意識の中で、最後に浮かんだのはラウラの笑顔。

 ─…………すまない……。

 ウルが体の安定を失い、地面に崩れ落ちる直前にヴァルザックが両手で支えると、そのままゆっくり地面に横たわらせた。

『……ラウラに痛みは与えない。
 一瞬で、終わるから……』

 意識を失ったウルにそう呟くと、大きく星空を振り仰ぎ咆哮を上げる。

 誰も聴く者がいないその声は、行き場の無い悲しみに満ちていた。

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