続きは、社長室で。
私なんて契約がなければ、貴方には無意味の存在だもの…。
すべてはアノ日に理解しているから…、大丈夫だよ――
「秘書になって貰う時点で・・・
蘭はもう幼馴染みじゃない」
「え・・・?」
待ち侘びた貴方の帰国に揚々として、ようやく再会出来た日のコト。
それはあまりにも一方的に、2人の間にキョリを作られてしまった。
【私、佐々木 蘭は、本書をもって、東条 拓海の傘下に入ることに同意いたします。
いかなる場合にも私情を挟まず、最後まで遂げることを、併せてここに誓います。】
「なに…、これ?」
「その言葉の通りだよ。
ほら、早くサインだけしてくれる?」
拓海は無表情のままで何も語ることなく、契約書にサインを要求されて。
拒否するコトなど出来ない雰囲気に、言われるがまま契約書にサインをしてしまった。
初めは誓約書の文言や意味なんて、何も理解出来なかった。
だけれど出来が悪いながらも、何となく解ったコトがある。
それは佐々木の苗字を持った、私に課せられた宿命だと…。
貴方に仕えて秘書を全うすれば、それでいいと思っていたの。
だけど、違っていたのね・・・