花火
あの金魚すくいの屋台は大きな杉の木の前に店を構えていた。
約束の時間からはもう一時間が過ぎている。
とりあえず用意したありあわせの水槽の中で金魚が跳ねた。パシャッという音が雨に混ざった。
私は玄関の傘を慌てて取り、激しい雨の中を走り出した。
途中でお父さんの傘だったことに気づいたけれど、気にしないで走った。
こんなにも長い距離をこんなにも早く駆け抜けたのは小学校のマラソン大会以来だった。
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