花火
「うん。うちはけっこう放任だから大丈夫だと思う」
まだ一緒にいたい。口に出すことはできないけど、まだ彼と同じ空間にいたい。
「服乾いたら送ってくよ」
立ち上がって小さい冷蔵庫から缶ジュースを2つ取り出した。
「え〜…」
彼が戻ってくると冷たい感触がコツンという音と共におでこに走った。
「え〜じゃないの。
高校生は帰って勉強しなサイ」
ジュースを受取りながらうつむく私を見かねてか、彼は優しい声で
「また今度、俺が仕事休みの日に会おっか」
と言いながら私の顔をのぞきこんだ。
それだけで、私は何も言えなくなってしまう。
頬を紅潮させながら、意地でも『うん』と言わない私に彼は何もかもお見通しだというかのように、くすっと笑った。
もうこの時には私は彼に囚われていたんだ、と思う。
今は本当に囚われの身になってしまったけれど…。