キミヲモイ。
「病院行こう!? ほら、立てる?」
「びょーいん、イヤ……」
「そんなこと言わんと!」
アズちゃんはだんだん元気が失くなり、力なく笑うようになった。
アズちゃんの母さんは心配して、アズちゃんを抱っこした。
アズちゃんはそれが恥ずかしかったのか、目をぎゅっと閉じる。
「それ、お持ちします……」
僕の母さんが言ったものは、僕の風船だった。
アズちゃんは僕の風船をずっと持っていてくれた。
「あ、すみません……」
アズちゃんの母さんは申し訳なさそうに頭を下げ、公園を急ぎ足で出ていった。
「裕梨……家帰ろうか」
母さんは僕の左手を取る。
母さんの左手には、僕が飛ばした風船が繋がれていた。
アズちゃんが掴んでくれた嬉しい気持ち。
今となっては、僕のせいで怪我をさせてしまった、そんな責めの気持ちしか残ってなかった。