リストバンド

「…ぶっ!」


…はれ?

数秒の沈黙の後、かえってきたのは私が求めていたものとはちがうものだった。

意味もわからず呆然と立ち尽くす。

視線は目の前でげらげらと笑い転げているバンドメンバーの動きをとらえたまま。

あぁ…ナントカナントカさん…。

いったい何がそんなに面白かったんですか。


「優の妹最高…っ!」


なおも笑いながらヒーヒーいっている。

や、失礼じゃないですかね。


「ザキ、うるさい」

「おわっ!」


ザキと呼ばれた笑い転げ男は後ろにいたナントカさんにフードをつかまれ体制を崩しそのまま尻餅をついた。

ドシンと痛そうな音が響き渡る。

意味もわからず笑われていた私にとって内心ザマーミロだ。


「ってぇ…何すんだよハル!」

「お前が失礼なことするからだろ」

「だぁってそれはさぁ…」

「俺の妹なんだから苗字は分かって当然だよな?」




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