レインブルー
「声で分かるの。あなたは自分から望んでこんなことしたわけじゃないって」
この人は、何を言っているのだろうか。
「あなた、まだ子どもでしょう」
胸の中がざわめき立つ。
「どうしてこんなことするの」
「…」
ドアを挟んでいるはずなのに、七瀬先生に何もかも見透かされているような気がして怖くなった俺は目を泳がせながら唇を震わせた。
どうしよう。
涼子がいない今、どうしたらいいのか分からない。
下手なこと言えば全てが水の泡だ。
もしかしてあなた、と七瀬先生はいった。
「私のーーー」
「その質問には答えられません」
俺は間髪を入れずに答えていた。
慌てて床下に置いてあった食器を片付けて立ち上がる。
感付かれる前に早くこの場を立ち去らないと。
その焦りで俺の口はとんだ過ちを冒してしまった。
「とにかくご飯食べてください、七瀬先生」