真夏の深海魚
出会い
思わず僕たちは見つめ合ってしまった。

時間にしたらほんの二、三秒だったと思うが、
二、三十分に感じられた。

年は二十歳ぐらいだろうか。
髪は短く、野球帽をかぶっている。
Tシャツ、ジーパン、スニーカーという服装に加え、
全体的に浅黒く日焼けしていたため、女の子というよりは少年のように見える。

気がついたら、彼女はテーブルをはさんで僕のすぐ目の前まで来ていた。

左手にバッグを、右手にはアイスコーヒーの入ったグラスを持っていた。
< 12 / 18 >

この作品をシェア

pagetop