また君に恋をする
コツコツ。
薄暗い廊下を歩く。
その先に響き渡る泣き声。
両手に抱えた買い物袋。
急いで鍵を取り出す隆平。
「親がいないのは大変なんやろうけど。何とかならひんの?この声。」
後ろから声をかけられる。
「彼方がちゃんと面倒みてたらこんなにも泣かひんのやない。」
嫌味な言い方。
頭を下げることしか出来ない隆平。
「すいません。」
一言謝ると鍵を開け部屋に入る。
溜息をつく隆平。
「兄たん。」
涙で濡れた顔。
隆平を見つけると一目散に走り出す。
博貴を抱きかかえる隆平。
「泣くなや。頼むから。泣かんといてくれ。」
ギュッと博貴を抱き締める。
隆平の服をギュッと握り締める博貴。