HEAVEN
「バカ言うんじゃないよ…あんたみたいなトロの言う事なんか信じる奴はいるかい」
そう穏やかにりえさんは吐き捨てる。
初めてこの人に会ったのが
20の時、あれからもう5年の歳月が経った。
「私もあなたも…老けましたね…」
「なにを言うの…私はまだまだピチピチの34さね…」
茶をゆっくりと小椀に注いで
私に差し出す彼女の手は、疲れていた。
「りえさん…
天国は、あると思います?」
私は何気なく聞いた。
きっとあの日の彼女と、同じ瞳で―。
「…
さぁてね、知りたきゃあんたが見に
おいきよ。
どうせお店に出ても大した事はできないんだからさ」
そして 彼女は静かに微笑む。
「昨日あんたのお母さんが来たんだよ」
私は思わず視線を動かす。
動かした先は、彼女の唇だった。