レヴィオルストーリー3
ミュリエルらしくないきっぱりした物言いに、レイは眉を潜める。

それだけ確信があるということか。



「それにアレンだって強いわ。もうやすやすと捕まるような真似しないでしょ」


くるりと振り返ってそう言う天使は、柔らかい笑みを浮かべていた。


皆の知る、ミュリエルの顔。


いつもと少し違う彼女に若干の不安を覚えていたレイは、ほっと安心して自分も微笑んだ。

それから頷いて目を細める。


(大丈夫。私も、それを防ぐから)



余裕を持ち始めたらしいレイ。

ミュリエルは彼女の隣に後退すると、レヴィオル国がある方向──つまり自分たちの進行方向の真逆に体を向けた。

雲しか見えない下を見下ろし、うんうん頷く。


「うん。アレンは最強でなくちゃ!悪魔なんかに負けるようじゃ、“勇者”の意味がなくなるわ」

「勇者の…意味?」


なんだか意味深な表現にレイはきょとんとする。

そちらに目を向けた大天使は、「あれ?」と首を傾げた。



「知らないの?」

「? 何を??」


ぱちくり瞬きするレイ、ふーんと呟くミュリエル。


そして純白の羽根を羽ばたかせながら、天使はおもむろに口を開いた。




「“教皇”“皇帝”“帝王”“勇者”…。

この四つの王職には、それに見合った世界の均等を保つ役割があるのよ」





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