レヴィオルストーリー3
「…ルティはこの時いなかったんだよな?」

「ああ、世界一周真っ最中だ!」


なんせ決まるのが急だったから、とケラケラ笑って言う海賊王。

それを不思議そうに見上げるルル、そっかと適当に相槌をうつアレン。


些か暢気すぎる二人と一匹は、ひたすら外の様子を観察していた。

アレンは後ろを振り返り街を見たり、上を見上げて城を見たりする。


「…街が違う」

「そりゃあ14年経ったからなぁ」

「でも…城は変わらない」


再び聳え立つそれを見上げ、アレンは囁いた。


──…不思議な気持ちだ。


ここは過去なのに、城だけ見ているとそうでない気がしてしまう。

真っ白なそれは、今も昔もその姿を変えていないのだ。



「俺もそれはよく思うなぁ」

「魔王が閉鎖したから?」

「だろうなー。なんせウジ虫一匹たりともここには入れなかったし」


二人して城を見上げ思案する。


そうしているうちにいくらか人が少なくなってきた。

きっと会場の方に移動したのだろう。


「今なら行けるぜアレン!」

「ん。じゃあ行っ…」


こう、と言いきる前に、かなり我慢していたのかルルが勢いよく飛び出した。

そして、…そのまま止まらず走り出す。


まさかの行動にアレンとルティは一瞬固まってしまった。






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