レヴィオルストーリー3
第十章◆




「アレン」

「……………………。」

「おい…、アレン」



高笑いする黒。

伏せる、姿の変わった父。


それらを見たまま、アレンは微動だにしなかった。

──…正確には、動けなかった。



「アレン…っ、戻ろう」

「……ルティ…」


今まで自分を拘束していた海賊王が、ぐい、と腕を引っ張る。

彼は一度飛び出そうとしたアレンを羽交い締めにし、その場に押さえつけていた。

ルルもキュンと一つ鳴くと鼻を押し寄せ、アレンを立ち上がらせる。


その間もアレンは赤い血溜まりの中に倒れる彼を見ていた。



「アレン…、行くぞ」

「……ん…」


上の空で返事をするアレン。

ルティはがっちりと彼の腕を掴んだまま、腰を屈めルルの首輪に触れた。


途端に、そこから広がる水色の魔法陣。







「……あいつ…、あの短剣…」



去り際に囁いたアレンの言葉は、魔法陣が巻き起こす風にかき消された。


すりすり擦り寄るルルに視線を落とし、アレンは目を伏せる。




「ウィスカ…さよならだ」



ルティの言葉を最後に、視界は光に満たされた。


そうして二人と一匹は、14年前に別れを告げる。



耳の奥では、魔王の高笑いが未だに響いていた──…






< 480 / 500 >

この作品をシェア

pagetop