スノウ
意味がわからない。

スタスタと慧を置いて歩き出す。

冬の駅前通は車の流れもゆっくりになって、時間の流れが遅く感じる。1分、1秒の長さは何も変わらないのに、私の足が速くなったかのようだ。

まだ明るい駅前通は賑やかだ。

また大通公園に着いた。

この公園へ何度隼人と来ただろう。

春はライラック祭り

夏はビアガーデンに行って、

秋はイルミネーションを心待ちにしながら歩いた。

冬…

冬はイルミネーションが始まって、雪祭り。

今年は一緒に歩けない。

また思い出してしまう。

休みなんてとるんじゃなかった。

歩いているうちに、指先が冷えてきた。

その時

頬に温かいものが触れた。


「おいーっす!見つけたぁ!!」

頬に触れたのは缶コーヒーだった。

「後ろからずっと尾行してた。」

タイトなPコートに、デニムとブーツ姿の慧は寒々しかった。
思わずマフラーを差し出した。

「かしてあげる。コーヒーのお礼に。」

慧はにっこり微笑んでマフラーをぐるぐる巻きにした。

「で、カードキーは?」


「家にあるから取ってくるよ。そんなに遠くないから待ってて。」

走り始めた時だった。

「こないだのクラブに届けて。12時からだから!」

慧は私に背を向けて手を振りながら歩いていった。
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