勝手にハニーキス



キラキラした瞳で言い放つ明日香に、静奈は少し困った顔で微笑む。



「だって……絶対に嫌われたよ」



「そうかな? 興味持ってくれなきゃ始まらないし」



「そうだけど、こんなのって……」



「それはまぁ……でも! 静奈の事嫌いなタイプだったら試したいなんて言わないよ、きっと」



臆病で、怖がりだから



相手の気持ちを先回りで考えて、勝手に結論付けてしまうのは自分の悪い癖。



事実、この心配性が原因で拓斗とだって終わってしまったのだから。



苦い過去を思い出しながら、明日香の押しを信じたい自分、悪い印象がついたと凹む自分。



二つの気持ちの間で小さな心がそっと揺れていた。



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