涙恋~RUIRENの魔法~
いつものように
夕飯の片付けをしていたら
加恋がウロウロしている。
めずらしく何か言いたげだった。
愛斗との件から
お互い避け合っていた。


「どうしたの?」

「別に・・・・・・」

  変な子

「ちょっと・・・・・来て。」
戻ってきて
私の手を引っ張った。



「あのね・・・・・
言うか迷ったんだけど・・・・・・
ん・・・・・・・・・・」


「どうしたの?加恋?」


「あのね・・・・
落ち着いて聞いてね。」

「うん・・・・」


「優先生ね・・・・・
入院するって・・・・・・
今日監督と話していたんだ・・・・・・・」


「え?入院って?
どこが悪いの?」


「う・・・・ん・・・・
監督の驚いた声がでっかくて
肝心なとこが聞こえなくて・・・・・
明日練習にもう一回
出てから
そのまま病院に入るって・・・・・」


「どこの病院?」
私はパニックになった。


「K大病院って言ってた。
監督その後、様子がおかしくて・・・・
なんだか嫌な予感だったから
亜恋ちゃんに
言った方がいいかなって・・・・・」


「ありがと・・・・・
教えてくれて本当にありがとう・・・・」


「優先生はみんなと一緒に
泊まってるから・・・・・」


「ありがと・・・・・」


私は母に
ちょっと本を買いに行くといって
自転車に飛び乗った。
会えるわけはないけれど
少しでも早く会いたいと思った。


加恋の言葉が不安にさせた。


  悪い病気なの?



自転車は日が沈んだ空を進む。


  

この前
お姉さんが言ってた。
好きな人が、もうすぐ死んでしまう・・・・・
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