涙恋~RUIRENの魔法~
「あのね、ナナンは素直になれないんだって。
好きな人に笑いかけれないって。
私は、素直すぎて破滅するよって
言ったら、うらやましいって言ってた。」


「ほんとだ、亜恋の素直さ
少し分けてあげればいいな~」


「好きな人には素直になるよ。
私は、優の前では
子猫みたいでしょ?」


優が爆笑した。


「あ!・・・いてて・・て・・・・」

傷口を抑えた。


「ごめんね~私ったら
手術の心配してたんだよ。
ついついナナンに会ったら忘れちゃった。」



「いいよ、いいよ。」


そう言って
私の頬に自分の頬をつけた。


「・・・・外の匂い・・・・
風の匂い・・・・・
・・・・・・早く退院して、バイク乗りたいな~」


「そうだね。」


優のこけた頬は痛かった。


体もいつのまにか骨を感じる・・・・・
あんなにたくましくて
硬い体だったのに・・・・・・


私は細くなった優の腰をしっかりと抱いた。


愛斗には守られている気がしたけど

今の優はすべてが脆くて壊れそうな
ガラス細工のようだった。


「・・・・亜恋・・・ごめん・・・・
俺さ・・・・やっぱ・・・ダメみたいだ・・・・
もう亜恋といる時間に
カウントダウン始まってる・・・・・
・・・・・進行ガン・・・・
腹をあけても
何もできずに閉めたって・・・・
ごめんな・・・・」



私の腕の中のガラス細工に
ヒビが入った。


「うそ・・・・・
そんなことない・・・・・
病気は治ったの・・・・・手術したんだもん・・・・
悪いとこみんな・・・・とってくれた・・・よ・・・・」
< 263 / 441 >

この作品をシェア

pagetop