涙恋~RUIRENの魔法~
優の指が動きだした。


体調の悪さからか
夜はただ一緒に手をつないで
眠ることが多かった。



「大丈夫?ユウ・・・・・」



「俺、おじさんだからさ~
最近年には、かなわなくて・・・・・・
やだな・・・・・
心はいつも
満々なのに
体が動かなくなった。」

おちゃらけて
年のせいにするけれど
わかっていた・・・・・・
体がしんどくなってきているって・・・・・・


繊細な指が 私の体を散歩し始めた。




切なく甘い声が私から漏れると
指はさらに 優しく動く。



「亜恋・・・・・
こんな愛し方しか
もうできないかもしれない・・・・・・・
ごめん・・・・・・」


私より
男の方がつらいだろう・・・・・



私はその指を捕まえて
自分の唇にあてた。



「ユウとすることなら
なんでも幸せ・・・・・・・・
そばにいてくれるだけで
語りかけてくれるだけで・・・・・・・・
そしてこの指だけで
充分に感じられるから・・・・・・・・・・・・
無理しないで・・・・・・」



優は強く私を引き寄せた。



「死にたくない・・・・・・・
亜恋を残して…死にたくない・・・・・・・・・・」


そう言った。
< 304 / 441 >

この作品をシェア

pagetop