涙恋~RUIRENの魔法~
「わがままを聞いていただいて
充実した時間を過ごせました。
大事な娘さんを・・・・・・
感謝しきれないくらいです。
・・・とうとう
先が見えてきました・・・・・・
今日から、また亜恋をここに
おいてください・・・・・
このまま病院にはいります。
戻ってこれなかったらと・・・・・・
身の回りの整理をしました。
またわがまま言いますが
亜恋のことよろしくおねがいします。」



優はそう言い終えて
土下座した。



「先生、ちょっとやめてください・・・・」



「ありがとうございます。
おかげさまで幸せでした。
亜恋のおかげで
予定より長く生きられました・・・・・
本当にありがとうございました。」




母が口を抑えた。



「こちらこそ亜恋を大事にしてくれて
ありがとう。
愛する人に力いっぱい愛されて
幸せな娘です。」


父が肩を震わす優の背中を

優しくさすった。





「このまま、車を売りに出すから
店においてきてから
病院に直行する。
落ち着いたら電話をするから
待っていて。」



そう言いって優が出かけて行った。


私はいつまでも
車を見送っていた。


優の部屋から引き揚げてきた荷物を
片づけながら
優からの連絡をまっていた。



優のテレビとパソコンをつないだ。



加恋が顔を出した。

「ずるいな~亜恋ちゃん・・・・・
テレビもパソコンもあるんだ。」



「ユウくんの・・・・なんだけど。
よかったら加恋も一緒に見よう。」



「うん!!また一緒にドラマみようね。
ちょっとさびしかったんだ。」


「ほんとに?」


「お風呂もたまに
入ろうね。」


そう言って加恋が
出かけて行った。



  愛斗とはどうなってるんだろう・・・・



加恋の後姿を見送った。





さっきまでのことが夢だったかのように
なんだか私が
どの世界に生きているのか
わからなくなってきた。


まだ
優と永遠の別れが近いなんて
どうしても信じられなかった・・・・・・・
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