涙恋～RUIRENの魔法～

愛斗が病院に消えてしばらくしたら
優の両親がやってきた。


「亜恋さん。」

私は驚いてたちあがって
頭を下げた。


「さっきは、ひどいこと言って
ごめんなさい。」


「いいえ。あたりまえのことです。
私自信もそう思っています。」


「あなたも傷ついたのに
ごめんなさいね。」


優の母は静かに隣に座った。


「優はね・・・・・やっと授かった子で・・・・・・
手にしたときの感動は今でも
忘れないわ。
おとなしくて、手のかからない子で・・・・・・
勉強もスポーツも
親として、幸せすぎて怖いくらい
優に楽しませてもらった・・・・・・
サッカー選手になる夢をあきらめて
初めて自暴自棄になって
どうなるかと
心配していた頃
先生になるという道を見つけて
またまっすぐ前を向いてくれた。
あの子が先生になると思わせてくれたのって
あなたなのね・・・・・
そのころ理恵子ちゃんに支えられ
あなたによって
生きる道を決めたなんて
なんだか因縁かしら。」



優の母親が笑った。



「あの子が私たちと会うことを
拒んでまだそんなにたってないのに
あの子はすっかり変わってしまったのね。
あんなに痩せこけて・・・・
もう人生を閉じる寸前だなんて・・・・」


母親は涙をポロポロ流した。


「あなた、病院にもいつも
ついてくれてたんですって・・・・
先生から病状の説明受けた時

『僕が宣告した命の期限は更新中です。
どんな薬よりも彼女の存在が優くんには
特効薬だったのかも
しれませんね。』

って・・・・・
あの子は、本当に
あなたを愛してるのね。」


「私もです・・・・・・
つらい時期があったけど
これから優さんを永遠に失うのかも
知れないけれど
今この時、二人の間には後悔は
ありません。
幸せです・・・・・・
私たちの幸せは
いろんな人の
涙や憎悪や苦しみの上に
成り立っているのも理解してます・・・・。」