涙恋~RUIRENの魔法~
「ユウくん・・・・今いくからね。」


やっと病院に着いたころには
私は無残な雪だるまになっていた。



べちゃべちゃなオーバを脱いで
病室に向かった。



私は小さな声で
「おはよう・・・・」と入って行った。


「あれ?どうした・・・・?」
そう言いながら優はうれしそうに笑った。


「会いたくて・・・・
学校さぼっちゃった・・・・・」


「大丈夫か?」


「加恋に頼んできた。」


「おいで・・・亜恋・・・・」

優が細い腕をのばした。


「おかあさんは?」


「今、出てる。
一時間くらいしたら戻ってくる。」


今日の優は、元気に感じた。


「こんなに冷たくなって・・・・」
私の頬を触った優が驚いた。

「今日はすごい天気なんだよ。」

「ラジオで言ってた。
こんな中をありがと・・・・・」


久しぶりに優とキスをした。



「ひさしぶり・・・・」

「かあさんいるからね。なかなかさ~」
優が笑う。

  いつも苦しんでてそれどころじゃないから


今日は本当に元気だった。


私はうれしくなって何度も何度も
優にキスをした。


優が

「あ~あ~こんなとこじゃなかったら
絶対押し倒してるのに・・・・」

と笑う。


「ほんと?」


「今日なら絶対イケる。」


「私もしたかったな~」
本音がポロリ

優が私を抱きしめた。


「やっちゃう?」


「ほんと?」
私が目を輝かせた時


「点滴で~す。」
看護師が笑いながら入ってきた。


「看護師さん~今いいとこだったのに~」
私はおどけて言った。


「ここは病院です~」


三人で爆笑した。


コップを洗いに行く時、
看護師に会ったから聞いた。



「今日、すごく元気なんです・・・・
薬変えたのかな?」



「本人には、よく効く薬に変えたって
言ったみたい。
心の持ちようで今は元気なんだと思う。
たくさん話しておきなさいね。」

看護師は私のあたまを撫ぜた。



私たちはずっと何度もキスをした。
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