涙恋~RUIRENの魔法~
大興奮
「冷たい麦茶どうぞ」

「お菓子食べるかい?」

ハーフタイム中、愛斗の両親はとっても
よくしてくれた。
私はとってもめだっていたようで
そばにいる人たちからも
声がかかる。


「ここは、父母席なのよ」


私は、よくまだ
優が家教のころ
こうして応援にここに通っていた。
その時もネットにはりついて


「優先生~頑張れ~」
黄色い声をあげたものだった。


グランドを走る
優に心を奪われ
私の初恋が始まった。

「優先生が好きなの。」
そのころは周囲も優も微笑む
幼い恋だった。


初めて会った時、真っ黒な顔に
真白な歯が
私を「先生、外人さん?」
といわせた。

優は笑顔で
「勉強以外はね、ずっと外にいるから
真っ黒なんだけど俺は
日本人だよ~」
と、爆笑した。


先生がくるのが楽しみだった。
私が勉強をするように
なったのは、優にいいところを見せたい一心で
家庭教師の時間が本番で
学校の先生が家庭教師
と、逆転していた。



後半のキックオフで
昔から今に戻ってきた。


相変わらず、愛斗は打たれていた。
ゴール裏は悲鳴が続く


私はまた興奮してネットに張り付いた。


「愛斗~~~ナイスキー~~~」


強豪はせめるけれど
愛斗のセーブに阻まれ得点にならず


後半終了間際
愛斗が相手スペースの開いた所に
ゴールキックを飛ばし
そこに走り込んできた
圭がミドルシュートを放った。


私は思わず興奮して
愛斗の父親に抱きついてしまった。


ゴ~~~ル!!
応援席は大歓声だった。


「集中だぞ~~~!!!」

愛斗の声が飛んだが
いきなりカウンターであっという間に
ゴール前に出てきた
相手FWの選手と
1対1になったが
愛斗の俊敏さでそのボールをセーブした。
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