僕と平安貴族の五日間

「え~っと。」


 彼女がぎょろりと目を動かした。


 どうやらその赤外線レーザーは


 殿に、ロックオンされているようだ。


 僕が殿を盗み見ると、


 殿は涼しい顔して4人目の女の子の


 自己紹介を見つめていた。


 お、恐るべし、貴族!


「祖師谷 八重子です」


 え?ジャ、ジャイ子?


 あの、俺様の妹分の??


「みんなには、ヤエって、呼ばれてます!


 運動大好きです!」


 ヤエ・・・ちゃん


 (僕は怖いのでちゃんをつけさせていただく)


 ヤエちゃんはどうやら、スポ科の柔道の選手らしい。


 しかも、うちの学校のエースだとか。


 そして、ヤエちゃんはその肩書にふさわしい姿をしていた。


 こう、なんというか、


 ものすごく、強そうなのだ。


 ベリーショートの髪をワックスでアレンジして、


 ポロシャツが、ラガーシャツのように


 見えるのだ。


「ねぇ!」


 ヤエちゃんが、


 来たばっかりの


 カシオレを口に付けながら、


 殿に質問する。


「殿くんって、カノジョいるのー?」


< 48 / 81 >

この作品をシェア

pagetop