甘いあまい☆マーマレード

 教室に入り、机に顔を俯せる。


 「柚朱~、そんなに悲しまなくても二度と会えなくなるわけじゃないでしょ?」

 「あ、一美おはよ……悲しんでいるんじゃなくて…」

 「じゃ、何? 先輩を送り出す今日この日に他に悄気てる理由は?」

 「それは……」

 
 今、私の周りを吹く風が……
 

 「一人で抱えこむなんて良くないぞ?」

 「うん、でも……ごめんね」


 一美、ありがとう


 「ちょっと、柚朱……」


 一美が何か言いかけていたけど、答えず教室を飛び出した。

 だって、これは私の問題だから

 一美の力……借りちゃいけないんだ。





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