甘いあまい☆マーマレード

柚朱


 あの日――

 バレンタインの時に、押し付けるようにチョコを渡した日。

 それ以来グラウンドに駆け寄る事もなく、昔のように教室の片隅からサッカーの練習を見ていただけ。

 その先輩が今隣にいる。

 今日一日だけかもしれない。

 今は、それをなるべく考えないようにしている。

 けど、それでもいいと思っている。

 だって、指をくわえてタダ、タダ見ていただけの先輩が――

 今、こうして手を繋いでいるんだもの。

 夢を持つ先輩が羨ましいって思っていたら先輩は言ってくれたの

 『ゆっくり見付ければいい』……か。

 とりあえず、先輩と同じ大学に行きたい……な。

 けど、今の成績じゃ、厳しいだろうな。


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