戦国遊戯
状況を理解したのか、目の前の男は、小さくため息をつくと、馬から降りて、玲子の腕をつかんで立たせようとした。

「手を貸してやる」

「…すみません」

何とか踏ん張って立ち上がり、スカートについた土を払った。

「・・・変わった形をしているな、おぬし」

男が玲子の頭からゆっくりと足まで眺めた。
が、言われて今度は玲子が変な顔をしてしまう。


・・・なり?おぬし??なんか言葉遣いが古臭い・・・


今日の夢は、妙になまなましい感じの、時代劇風な夢なんだろうかと思いながら、そうでもないです。と答えた。

「あの、もし問題がなければでいいんですけど。ここってどこなんだか、教えてもらえませんか?」

相手の手に持っている槍が不気味に光っていて、気づけば玲子は畏縮して、いつの間にか敬語になっていた。
聞かれてまた、不審そうな目で男が見てきた。

「本当にここが、どこなのかわからぬのか?」

聞かれて、はぁ、と、玲子はふてくされた風に言った。


だって、本当にどこなんだかわかんないんだもん。


「ここは、甲斐の国だ」

意外とあっさりと、男は教えてくれた。


・・・甲斐、どっかで聞いたような・・・


「お館様、武田信玄公の領土だ」

「たぁ!?武田信玄!?」

玲子は思わず叫んだ。

「なんだ、いきなり大声をだすな」

耳を押さえて、怪訝そうな顔をしてこっちを見ていた。
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