戦国遊戯
一瞬、呆然とした表情を浮かべたものの、すぐにあぁ、と納得した。


なるほどね。戦国時代にいるって設定なわけだ。寝る直前に、ワールドヒストリにログインしてたからかなぁ。


そう思ったとき、ある人物の名前が頭に浮かんだ。玲子は少しどきどきしながら聞いてみる。

「ってことは、もしかしてあなた。真田幸村・・・だったりして?」


まぁ、まさかね…


「そうだが・・・おぬし、なぜ知っている?」

また、眉をひそめられた。


ほ、ほんとにそうだったんだ・・・


思わず顔を引きつらせる玲子。慌てて何とか言い訳をする。

「いや、ほら。有名じゃないっすか」

「え?」

「武田信玄といえば、真田幸村って。常識ですよ」

「そ、そうなのか?」

少し幸村の顔が赤くなった。が、すぐに玲子に向かって怒りだす。

「いや、おぬし!信玄とは無礼な!信玄様と呼べ!」

「あぁ。すいません」

変な奴だと思い、少し笑いながら答えた。


しかし、ここが戦国時代で、場所が甲斐だとわかったところで、どうすればいいんだか、と、途方にくれた。


夢のくせに、私に、全然都合よくことが運ぶことがないし。
なんなのよ、この夢。


深いため息が出た。

< 15 / 347 >

この作品をシェア

pagetop