戦国遊戯
「あれは、鳶だよ」

後ろから声がして、振り返ると、そこには慶次の姿があった。

「昨日はだいぶ酔ってたみてーだが。もう大丈夫か?」

にっと笑う慶次。

「あ、おはよう…じゃないか、もう」

苦笑いすると、慶次も笑った。

「今日、信玄公が来るそうだな」

「うん。謙信から聞いた」

そうか、と短くいうと、慶次は背を向け、その場を去ろうとした。

「ね、今日の余興のことって何か聞いてる?」

聞くと、慶次はこっちを向くことなく、ただ、いや、と短く言うと、そのまま廊下の奥へと向かっていった。

これ以上は、何も答えられない、か、知らない、ってとこか。

「はぁ、帰れるのかな?私」

また、空を見上げた。


鳶が羽を広げて、少し赤みが差してきた大きな空を飛んでいた。
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