戦国遊戯
どこの誰が、一体、なんの目的で。

正直、そんなことはどうでもよかった。
ただ、生き延びる。
ただ、この場をなんと凌ぐ。

玲子の中にあるのは、それだけだった。

しばらくの間、にらみ合いが続く。信じられないような緊張感に、汗がポタポタと落ちてきた。


最初に仕掛けてきたのは、相手だった。

ヒュン。
風を切る音がした。玲子は素早く地面を蹴り、横へ避けると、木の影に隠れた。
息を殺して相手の位置を探る。


矢の飛んできた方向を、目を凝らして見てみるが、誰もいない。


どこにいるのよ!


焦りと苛立ちが、玲子を襲う。ちっ、と思わず、舌打ちが出た。

「どこを見ている」

後ろから声がした。びっくりして振り返ろうとする。
が、腕をねじりあげられ、体を木に押し付けられる。

「いっ!」

胸に痛みがはしった。思わず、顔が、痛みで歪む。後ろにいる人物を見ようと、顔を向けた。が、暗さと、まるで忍者のように隠してあるマスクのせいで、はっきりとわからなかった。

「主の命により、お前を殺す」

低い、男性とおぼしき声で、短く、しかもとても機械的で、冷たく言い放たれた。

「だ、誰に頼まれたのよ!」

必死で抵抗しようと、もがいてみるが、ぎりぎりと腕が締め上げられ、痛みがまし、逃げられなくなるばかりだった。

なにも言わず、空いている方の手で、腰にさしてあった短刀を抜き取り、玲子めがけて降り下ろしてきた。


だめ、やられる!
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